本日(202007)は愛知県名古屋市東区代官町にある新角屋さんにお邪魔しました。

名古屋の夏!松月の夏!っと今年は種物の松月を攻めようと思っている私ですが…。
名古屋の種物松月はextinctしそうですね。提供している店があまりにも少ない。

名古屋の種物松月ってえのは、白汁のうどんに板海苔を載せ、その上に生卵を落とすって奴なんですな。
板海苔は松を表し、卵は月ってな寸法です。



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(一八本店のショーケースにあった昭和40年代のメニュー、天ぷらうどんに並ぶお値段)
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歴史のあるお店で既に使っていない木札のメニューなんかにはかなりの確率であるんですよね。




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(亀城一八に飾られた昔のメニュー(大名古屋便覧(昭和12年刊行)ではキシメン一杯五銭となっているので、昭和10年代のメニュー)、親子なんばに次ぐ高級なもの。卵の値段の推移が分かりますね。)
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「松月ってなに!?」、「海苔と卵が載ったうどんだよ。今はもうない。」なんて会話を聞いたのはここだったな。

所詮は月見うどんなんだから、別に…、って訳にはいかないのが私のヤヤコシイ所。
私にとって食はエンターテインメントであり、嗜好品なのである。
嗜好品は場所の雰囲気、使う道具、一緒に使用する人たち、呼称によって大きく味わいが変わる。
同じものでも松月と月見では味が変わるのだ!

私は喫煙者で同銘柄を20年ほど吸っていたのだが、10年も同じ銘柄を吸っていると、「俺に断りもなくパッケージ変えるなよ!」とか「名前変えんなよ!」っと思ったものである。嗜好品は中身が同じでもガワが違えば味わいは異なるんですよ。呼称と外見は味を左右するのである。

「松月」はやっぱり「松月」でなければならない。



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そんな訳でお邪魔したのは代官町新角屋さん。



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メニューに松月の文字はないんですが、前回訪問時お母さん注文されれば作るよ!っと言ってくれたんですね。



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お言葉に甘えまくって「松月うどんください!」っというと、厨房に「松月。うどんで!」っと通してくれます。厨房からも「松月うどんね!」っと呼応してくれます。
このやり取りだけで美味しい松月うどんが食べられるってもんです。



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松月うどん。



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見事な板海苔ですな。見たことはないですが、これが本物の松月うどんに私の中では確定。
正直メニュー落ちしているものを注文したので、期待半分だったんですが、期待の4倍ぐらいの物が出てきてくれました。



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やはり松月の台はうどん。
出汁は塩気の強い白出汁。
板海苔は松を表し、卵は月ですな。
月夜の松葉はライトアップされなければ緑に見えないんですよ。「夜の松(yahoo画像検索)
刻み葱や青菜が乗ることもあるでしょうが、それはサービス過剰な愛知県だからこその物。
あぁ~、しみじみ旨いなぁ~。

メニュー落ちしても、松月を松月として出してくれれば問題なし。美味しくいただきました。
我儘を聞いていただきありがとうございました。
また来ます!



松月メモ。
うどんの種物。卵と海苔。
昭和初期には東海の麺類食堂で提供されていた。当時は高級品だった卵の値段と共に格下げが続き、今や絶滅危惧メニュー。令和2年の東海では板海苔を使用せず卵を落としただけの「月見」という呼称が一般的。
海苔を松、卵を月、板海苔を松に見立てたことが由来。かまぼこや青菜が入ることがあるが、東海では「かけ」が無いことを考えると呼称に影響を及ぼしたとは考えにくい。
海苔は刻み海苔か?板海苔か?花巻に卵を落としたと考えれば海苔は刻みか?
白出汁なので、板海苔で松を表す。
青菜がつくことが一般的?(海苔は岩?青菜が松?海苔が松なら刻みか?)おそらく青菜が松。
卵は白身が少し白くなる程度加熱、もしくは熱い出汁を使用。朧月夜って感じにするのが好ましい。



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実はこちらはランチがお得なお店。
志の田とじ丼とそばころに心惹かれてしまったんですよね。松月を頼んでよかったとは思いますが、次回はランチかな!?
ちなみに松月はランチとお値段変わらず。


訪問履歴
きしめん定食@新角屋

新角屋
0529350509
愛知県名古屋市東区代官町1−2
営業:
定休: